結婚相談所の開業で連盟(フランチャイズ)を比較しようとすると、すぐに壁に当たります。各連盟の公式サイトは費用の見せ方がバラバラで、横に並べられないのです。加盟金だけ大きく出す連盟、月額だけ見せる連盟、実例で語る連盟。
この記事は結婚相談所の連盟比較です。費用・条件を公式サイト・公開資料で個別に確認できた主要6連盟を対象に、初期費用・月額・会員基盤を同じ物差しで並べ直しました(地域系の連盟などは、公式の実額が確認でき次第追記します)。各連盟の説明会に行く前の、比較の土台としてお使いください。
結論:主要6連盟の横断比較表
2026年8月時点で、各連盟が公式に公表している実額です。公表していない項目は「非公表」「要確認」と正直に書いています。そこも含めて比較材料です。
| 連盟 | 初期費用 | 月額 | 会員基盤(公表値) |
|---|---|---|---|
| IBJ (日本結婚相談所連盟) |
加盟金200万円 (税込220万円) 研修費・保証金0円 |
18,800円 (月会費15,000円+カウンセラー1名分のアカウント料3,800円・税抜) 別途1会員あたり月750円 |
登録会員107,597名 相談所4,783社 (IR・四半期開示) |
| TMS (全国結婚相談事業者連盟) |
公式サイトに明記なし (説明会で要確認) |
固定12,000円 (税区分表記なし) ロイヤリティ・保証金0円 |
SCRUM 68,406名 +CONNECT-ship 14,797名 加盟1,422店(2026年7月) |
| BIU (日本ブライダル連盟) |
66万円(税込) | 月会費15,000円(税区分の明示なし) ※35名運用・東京都の実例で月約22,500円(税込)と公式説明 |
登録約61,000名 うち活動中44,507名 (2025年1月・提携団体含む) |
| NNR (日本仲人連盟) |
加盟金66万円(税込) ロイヤリティなし |
要確認 | 要確認 |
| 日本仲人協会 | 加盟金0円 ※説明会参加後1週間以内の加盟が条件 |
固定11,000円 | 加盟相談所1,000超 仲人2,000人余(※2017年時点の公表) |
| JBU (全国結婚相談所連盟) |
加盟金・研修費・登録料 すべて0円 |
11,000円(税込) | 非公表 |
※各連盟の公式サイト・公開資料の記載を2026年8月に個別確認。税区分は各公式の表記に準拠し、明示のないものはそのまま記載。最新条件は必ず各連盟の説明会で確認してください。
初期費用だけ見ても、0円から税込220万円まで開きがあります。この差が何の差なのかを、順に開いていきます。
結婚相談所の連盟とは何か|なぜ連盟なしの開業は現実的でないのか
開業したばかりの相談所には会員が数人しかおらず、手持ちの会員同士ではお見合いの組み合わせがすぐに尽きます。そこで他の相談所と会員データベースを共有し、ネットワーク全体からお相手を探す。この仕組みを提供するのが連盟です。結婚相談所の連盟とは、加盟した相談所どうしが会員データベースを共有し、相互にお見合いを申し込めるようにする組織のことです。加盟金や月会費を払って参加し、システム・研修・書式などの運営基盤もあわせて提供されます。フランチャイズと呼ばれることもありますが、飲食店のような看板の統一や商圏の制限はなく、屋号は自由につけられるのが一般的です。
連盟選びは、「自分の会員に、何名の中からお相手を探してあげられるか」を決める選択です。言い換えると、仕入れ先を選んでいるようでいて、実際には商品の中身そのものを決めています。開業の仕組み全体は開業ガイドで、平均的な相談所の収入は年商と退出率の検証記事で扱っています。この記事では連盟選定の実務に集中します。まずは主要な連盟の一覧から見ていきます。
費用は3つのタイプに分かれる|何にお金を払っているのか
6連盟の費用体系は、きれいに3つに分かれます。
| タイプ | 該当連盟 | 買っているもの |
|---|---|---|
| 加盟金型 (初期200万円級) |
IBJ | 最大規模の会員データベース+6ヶ月の立ち上げ研修+ブランド。初期費用に教育と看板が含まれる |
| 中間型 (初期66万円級) |
BIU・NNR | 会員データベースと基本サポート。研修や集客支援は連盟により濃淡 |
| 月額のみ型 (初期0円〜) |
日本仲人協会・JBU(加盟金0円確定) TMS(加盟金は公式に明記なし・説明会で要確認) |
データベース接続そのもの。教育・集客はほぼ自走前提 |
どれが正解かは人によって違いますが、構造は共通です。初期費用が重いほど「教育と集客の支援」が価格に含まれ、軽いほど自走が前提になる。加盟金0円は魅力的に見えますが、それは「何も含まれていない」ことの裏返しでもあります。逆に、既に集客の当てがある人にとって、重い加盟金は使わないサービスへの支払いになり得ます。
編集部の見解
「初期費用+月額×18ヶ月」の総コストに直してみましょう。IBJは220万円+約34万円(月額18,800円税抜×18ヶ月)≒254万円、BIUは66万円+約27万円(月会費15,000円×18ヶ月)≒93万円、JBUは約20万円。差額が「研修・ブランド・会員規模にいくら払うか」の値段です。判断の物差しは金額の大小より、差額で買えるものが自分に必要かどうか。ここに尽きます。
回収の目安も添えておきます。一般的な料金設定(入会金5万円・月会費1万円・成婚料20万円)で会員10名を18ヶ月維持し、期間中に6名が成婚した場合、売上はおよそ300万円。IBJの総コスト254万円はこの規模でようやく回収圏に入り、JBUの約20万円なら会員2名で届きます。初期費用の重さの違いは、そのまま「回収に必要な集客力の違い」だと読んでください。
会員データベースの実数と「公表姿勢」を見る
連盟選びで最も重要な数字は会員数です。あなたの会員がお見合いを申し込める母数だからです。ここで注目したいのは、実数そのものに加えて「実数を公表しているかどうか」です。
- IBJ:登録会員107,597名。上場企業として四半期ごとにIRで開示。数字の鮮度と検証可能性は最も高い
- TMS:SCRUM 68,406名+接続プラットフォームCONNECT-ship 14,797名を公式サイトで常時公表。内訳の透明性が高い(後述)
- BIU:登録会員と「活動中会員」を分けて公式サイトで公表。提携団体ごとの男女別内訳まで開示している(2025年1月時点)
- JBU:実数は非公表
- 日本仲人協会:加盟相談所1,000超・仲人2,000人余を公表しているが、2017年時点の数字が使われている
非公表=悪ではありません。ただ、会員数はこの事業の商品そのものなので、非公表の連盟には説明会で必ず実数と算出基準を確認する必要があります。「登録会員」なのか「紹介可能会員」なのか、休会者を含むのか。会員数の算出基準は連盟ごとに異なるため、同じ「会員数」という言葉でも基準しだいで大きく変わり得ます。
基準の違いで数字がどう変わるかは、TMSの公式脚注がよくわかる例です。SCRUM 68,406名の内訳として「うちTMS会員47,183名」、CONNECT-ship 14,797名についても「SCRUM重複8,155名を含む」と、重複まで開示しています。さらに「登録会員は活動中・交際中・休会中を含む」と定義も明記。つまり、大きな見出しの数字と「いま実際にお見合いを申し込める母数」は別物であり、誠実な連盟ほど、その差を自分から開示しています。他の連盟でも、この粒度の内訳を説明会で確認してください。
「登録会員数」と「申し込める会員数」は4分の3しか重ならない
この差がどれくらいの大きさになるのかを、実数で示している連盟があります。BIUは加盟数・会員数データのページで、登録会員数と「活動中会員数(交際中・休止を除くお見合いセッティング可能な人数)」を分けて公表しています。2025年1月時点の数字です。
| 団体 | 登録会員数 | 活動中会員数 |
|---|---|---|
| BIU(日本ブライダル連盟) | 21,516名 | 18,637名 |
| JBA(提携) | 19,265名 | 12,811名 |
| デンファレ(提携) | 7,040名 | 6,413名 |
| ノッツェ(提携) | 8,547名 | 6,646名 |
| 合計 | 56,368名 | 44,507名 |
登録56,368名に対して、実際にお見合いを申し込める会員は44,507名。登録の約79%です。BIU側はこれとは別に公開待ちの会員約5,000名を含めて「約61,000名」とも案内しており、その分母で見ると活動中の割合は約73%まで下がります。
2割から3割が消えるのは、この事業の性質上むしろ自然なことです。交際中の会員には申し込めませんし、休会中の会員も動きません。問題は、連盟によってどちらの数字を看板に出すかが違うことです。BIU自身も公式サイトで「連盟によっては表記する会員数を80,000人以上などと謳っているが、それらの会員数は加盟した結婚相談所が紹介できない会員を含んでいる場合がある」と指摘しています。ポジショントークではありますが、指摘そのものは事実です。
だから比較表の会員数は、そのまま足し引きしても意味がありません。説明会では「その数字は登録ベースですか、活動中ベースですか」と一言たずねてください。答えられない、あるいは答えが濁る場合は、その数字を計画の前提に置かないほうが安全です。
会員の年齢層を公表しているのは実質1社だけ
もう1つ、見落とされやすいのが年齢構成です。自分が集めたい会員層と、連盟データベースの年齢層がずれていると、いくら母数が大きくてもお見合いは組めません。30代女性を中心に集めるつもりの相談所が、50代男性が厚いデータベースに入っても噛み合いません。
ところが年齢構成を数字で公表している連盟はほとんどありません。IBJは公式の会員データページで男女別の年代比まで開示しています(2026年4月時点)。
| 年代 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20代 | 8.3% | 16.4% |
| 30代前半 | 20.5% | 27.5% |
| 30代後半 | 23.8% | 25.9% |
| 40代前半 | 17.9% | 14.7% |
| 40代後半 | 12.0% | 6.7% |
| 50代以上 | 17.4% | 8.7% |
男女とも30代前半〜40代前半がボリュームゾーンですが、両端の形がはっきり違います。20代は女性が男性のほぼ2倍、50代以上は男性が女性の2倍。男女比は男性55.5%・女性44.5%です。年収は男女とも400〜599万円が最多層でした。
この偏りは、集客の設計にそのまま関わってきます。20代女性を集めるなら同世代の男性は薄いので、年上とのお見合いを前提にした説明が要ります。逆に50代男性を集めるなら同世代の女性は少なく、競争は厳しくなります。BIUが公表しているのは男女比(男性56.9%・女性43.1%)までで、年齢構成の開示はありません。他の連盟も同様です。
説明会では自分の狙う年齢層の実数を必ず聞いてください。「全体で何万人」ではなく「30代女性は何名か」「自分の県に何名いるか」。この2つの答えで、その連盟が自分の事業計画に合うかが決まります。
もう1つ、地域の偏りにも注意が必要です。たとえばTMSは1985年の発足以来サービスを提供し、公式サイトで「2017年には東日本でもサービスの提供を開始」と説明しています。裏を返せば地盤は西日本から始まった連盟です。全国の会員数が大きくても、自分の開業予定エリアの密度は別問題。質問リストの②を入れた理由がここにあります。
編集部の見解
検証可能性の順に並べると、IR開示(IBJ)>サイト常時公表(TMS・BIU)>非公表・古い公表(その他)。この並びが示すのは連盟の優劣でしょうか。違います。「数字を第三者が確かめられるかどうか」の順番です。自分で確かめられない数字は、説明会で直接たずねる。それがこの表の使い方です。
紛らわしい連盟名を整理する|1字違いの世界
この業界は、連盟の名称が驚くほど似ています。検討中に別の団体を調べていた、という事故が実際に起きるレベルです。
| 略称 | 正式名称 | 紛らわしポイント |
|---|---|---|
| IBJ | 日本結婚相談所連盟 | 「日本」と「全国」の違いだけ |
| JBU | 全国結婚相談所連盟 | |
| TMS | 全国結婚相談事業者連盟 | JBUと「事業者」の有無だけ |
| NNR | 日本仲人連盟(nakodo.co.jp) | ドメインが1字違い (nakodoとnakoudo) |
| — | 日本仲人協会(nakoudo.co.jp) |
資料請求や検索の際は、略称とドメインまで確認してください。本記事の比較表も、この正式名称の対応で読んでいただくのが安全です。
選び方:資金×集客資産×働き方の条件分岐
順位はつけません。条件で分岐させるのが、この選択の正しい形だからです。
| あなたの条件 | 向いている人 | 理由 |
|---|---|---|
| 未経験・集客の当てがまだない・専業を目指す | 加盟金型(研修と会員規模を買う) | 教育と母数の大きさが立ち上がりの遅さを補う |
| 本業の顧客基盤・地域人脈・発信力が既にある | 月額のみ型で小さく開始 | 集客を自前で賄えるなら、固定費最小で試行できる |
| 副業で月数名から試したい | 月額のみ型 or 中間型 | 撤退コストが月会費の累計だけで済む |
| 資金はあるが時間がない | 加盟金型+中間型を比較 | 運営効率(システム・サポート)への投資が時間を買う |
迷ったら、費用体系が違う2連盟の説明会を並べて聞くのが最短です。同じ質問をぶつけると、各連盟の説明の意味が立体的にわかります。1社だけの説明会で決めるのが、この選択で最も多い失敗です。
6社のうち会員数を四半期ごとに開示しているのはIBJだけです。だから最初の1社をIBJにすると、他連盟の説明を測る物差しが手に入ります。加盟金は最も重い一方、その金額が妥当かを自分で検証できる唯一の連盟でもあります。比較の基準がないまま1社だけの説明を聞くのが、いちばん危ない進め方です。
無料。この段階で加盟を決める必要はありません
(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)
説明会で必ず聞く質問7つ
比較表の「要確認」を埋め、説明の内容を確かめるための質問リストです。そのまま持って行ってください。
- ① 加盟店の会員数の中央値は何名ですか(IBJの場合、加盟店所属の会員77,248名を直営店を除く約4,750社で割ると平均約16名という試算があります。中央値はそれより小さいはずです)
- ② 私の開業予定エリアの登録会員は何名ですか(全国の数字より重要)
- ③ 「会員数」の算出基準を教えてください(登録・紹介可能・休会込みの別)
- ④ 初年度にかかる費用の全項目を一覧でください(加盟金・月会費以外の登録料・システム料・研修料)
- ⑤ 解約の条件を教えてください(最低契約期間・違約金・会員の引き継ぎ)
- ⑥ 加盟金0円・割引の適用条件は何ですか(期限つき条件の有無。例:説明会後1週間以内など)
- ⑦ 昨年、加盟店は何店増えて何店辞めましたか(純増でなく出入りの実数)
誠実な連盟ほど、この質問に具体的な数字で答えます。逆に、はぐらかされた項目はそのまま契約リスクです。
よくある質問
あとから連盟を乗り換えられますか?
契約上は解約→再加盟で可能ですが、在籍会員のデータとお見合いの進行を巻き込む引っ越しになるため、実務では稀です。最初の選定に時間をかけるほうが安く付きます。
加盟金0円にからくりはありますか?
「0円」には適用条件がついている場合があります。たとえば日本仲人協会の加盟金0円は、説明会参加後1週間以内の加盟が条件と公式サイトに明記されています。期限つきの条件はどの連盟でもあり得るため、説明会の前に比較検討を済ませておくと、期限に急かされずに判断できます。
複数の連盟に同時加盟できますか?
併用している相談所は実在しますが、可否と条件は連盟ごとの規約によります。検討する場合は、説明会で「他連盟との併用は可能か」を直接確認してください(質問リストに追加を)。
まとめ|比較表は「説明会の前」に使う
- 主要6連盟の初期費用は0円〜税込220万円。差額の正体は研修・ブランド・会員規模
- 費用は3つの型:加盟金型/中間型/月額のみ型。重いほど支援込み、軽いほど自走前提
- 会員数は実数だけでなく公表姿勢を見る。非公表の連盟には算出基準ごと確認
- 連盟名は1字違いだらけ。正式名称とドメインで確認
- 説明会は費用体系が違う2社以上。質問7つを持って行けば説明の内容をその場で確かめられる
次の一歩は、比較の基準点を作ることです。数字の検証可能性が最も高いIBJの資料で相場観を作り、そこに費用体系が違う連盟をもう1社並べる。この2点測量が、遠回りに見えて最短の選び方です。IBJの費用内訳はIBJ加盟の記事、資金全体の組み立ては開業資金の記事で詳しく扱っています。
この記事の質問リストを持って、まず基準となる1社から。IBJなら会員数・成婚数・加盟店数のすべてが公開されているので、説明会で聞いた話を後から答え合わせできます。その場で確かめられない数字は、契約後には確かめられません。費用体系が違う2社目と並べれば、判断材料は揃います。
無料。この段階で加盟を決める必要はありません
(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)
執筆:結婚相談所開業ナビ編集部(調査責任者:成田風輝。上場企業のIR資料・公的統計を用いた業界データの調査・分析を担当)。本記事の費用・会員数は各連盟の公式サイト・公開資料を個別に確認しています(最終確認:2026年8月)。記載条件は変更されることがあるため、契約前に必ず各連盟の最新資料で確認してください。
この記事を書いた人
成田 風輝(なりた ふうき)
結婚相談所開業ナビ 調査責任者。上場企業のIR資料・公的統計・各連盟の公式公表値をもとに、業界の数字を検証して記事にしています。M&A仲介の手数料を比較するM&A手数料ナビも運営。