結婚相談所の開業ガイド|費用と収入を一次データで解説

結婚相談所の開業は、自宅・1人・資格なしで始められる事業です。婚活ビジネスの3業態の中でも参入のハードルが低く、起業の形としては最も軽い部類で、店舗も在庫も要りません。初期費用は加盟する連盟しだいで0円〜220万円(税込)と幅があります。IBJの決算説明資料によると、2025年の1年間で874件が新たに開業しています。

ただ、同じ資料から計算すると、1年間で約650社が看板を下ろしていることもわかります。始めやすさと続けにくさが同居している。それが、この事業の正確な姿です。

この記事では、東証プライム上場のIBJが開示する一次データと各連盟の公式料金だけを根拠に、結婚相談所の開業の仕組み・費用・収入の現実・連盟の選び方を解説します。加盟の営業を受ける前の、判断材料としてお使いください。

結婚相談所の開業とは|仕組みを最初に理解する

結婚相談所の開業を検討するとき、最初に理解すべきなのは「1人では引き合わせる相手がいない」という構造です。

開業したばかりの相談所には、会員が数人しかいません。手持ちの会員同士だけでお見合いを組もうとすると、組み合わせはすぐに尽きます。そこで実務では、「連盟」と呼ばれる会員データベースの共有ネットワークに加盟し、他の相談所の会員とお見合いを組みます。これが現在の結婚相談所ビジネスの標準形です。

登場するのは3者です。それぞれが出すもの・得るものを整理すると、事業の全体像がつかめます。

提供するもの 得るもの
連盟本部 会員データベース・お見合いシステム・研修 加盟金・月会費(相談所から)
相談所(あなた) 集客・会員の婚活サポート 入会金・月会費・成婚料(会員から)
会員 活動費 出会いの母集団と伴走サポート

規模感を実数で押さえておきましょう。最大手の連盟であるIBJは、2026年12月期第1四半期の決算説明資料で次のKPIを開示しています(2026年3月末時点)。

  • 加盟する結婚相談所数:4,783社(前年比+5.3%)
  • 登録会員数:107,597名(前年比+11.6%・直営店を含むIBJ全体)
  • 成婚組数:年間20,970組(2025年実績)
  • お見合い件数:年間約104万件(2025年実績)

新規開業は2025年の1年間で874件。1日あたり2〜3件のペースで、どこかで誰かが結婚相談所を開いている計算です。副業の会社員、子育てを終えた主婦、士業やFPの兼業など、開業者の中心は「人生経験を活かしたい個人」です。

編集部の見解

開業準備で最も時間をかけるべき工程は、物件探しでも屋号決めでもなく連盟選定です。加盟後の乗り換えは会員を巻き込む引っ越しになるため、現実にはほとんど起きません。最初の1社を決めた時点で、事業の骨格は8割決まると考えてください。

開業に資格・許認可は不要|ただし「規制ゼロ」ではない

結論から言うと、結婚相談所の開業に国家資格・免許・行政の許認可は一切不要です。結婚相談業は届出制でも許可制でもなく、個人なら税務署への開業届だけで始められます。この参入障壁の低さが、年間874件という開業数を支えています。

ただし「規制ゼロ」と誤解すると、最初の契約でつまずきます。特定商取引法の「特定継続的役務提供」に、結婚相手紹介サービスは指定役務として含まれています(エステ・美容医療・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室と並ぶ7業種の一つ)。契約期間2ヶ月超・金額5万円超の契約が対象で、結婚相談所の標準的な契約はほぼ確実に該当します。

該当する事業者には、次の義務が課されます。

  • 書面交付義務:契約前に「概要書面」、契約後に「契約書面」を交付する
  • クーリング・オフ:書面受領から8日間、会員は無条件で契約解除できる
  • 中途解約権:クーリング・オフ期間後も会員は解約でき、事業者が請求できる損害賠償には上限がある
  • 誇大告知・威迫の禁止:成婚実績の虚偽説明などは処分対象

もっとも、実務で書面をゼロから自作する必要はありません。主要な連盟は契約書面のひな形と法令研修を提供しており、たとえばIBJの場合は加盟金に含まれる立ち上げ研修(6ヶ月)に法令の基礎が組み込まれています。未経験者ほど、この部分は連盟のフォーマットに乗るのが安全です。

もう一つ実務上重いのが個人情報です。結婚相談所は会員の年収・学歴・家族構成・婚姻歴という機微な情報を預かる事業であり、個人情報取扱事業者としての安全管理措置(データの保管ルール・持ち出し制限など)は開業初日から求められます。

なお、連盟や業界団体が発行する民間資格は、就業要件ではありません。連盟の研修に含まれていることが多く、取得は開業後でも間に合います。

編集部の見解

「資格不要」は参入のハードルが低いという意味であって、義務が軽いという意味ではありません。書面交付とクーリング・オフを知らずに口約束で入会させると、最初のトラブルが廃業リスクに直結します。開業前に確認すべきは資格ではなく、契約まわりの実務です。書面の具体的な要件は資格と手続きの記事で解説しています。

開業資金の全体像|総額を決めるのは連盟の加盟金

結婚相談所の開業資金は「200万円」とも「ほぼ0円」とも言われます。どちらも嘘ではありません。総額を決める最大の変数が連盟の加盟金で、これが0円〜200万円と極端に幅があるからです。

実際に各連盟が公式サイトで公表している金額を見ると、たとえばIBJの個人契約プランは加盟金200万円・税込220万円(研修費と保証金は0円)、一方でJBU(全国結婚相談所連盟)は加盟金・研修費・システム利用料がすべて0円で月会費11,000円のみです。同じ「結婚相談所の開業」でも、入口の資金はここまで違います。

自宅で1人で始める場合の構成はシンプルです。

費目 目安 備考
連盟の加盟金 0円〜220万円(税込) 連盟により極端に異なる。分割対応あり(IBJは頭金11万円〜・税抜表記)
連盟の月会費 月1.1万〜1.9万円程度 例:JBU 11,000円(税込)/TMS 12,000円/IBJ 18,800円(月会費15,000円+カウンセラー1名分のアカウント料3,800円・税抜。別途1会員あたり月750円)
事務環境 数万円 PC・プリンタ・契約書面の印刷環境。自宅なら賃料ゼロ
名刺・ホームページ 0〜20万円 開業時は無料ツールでも成立。集客を本格化する段階で投資
運転資金 月会費×12〜18ヶ月分 会員収入が積み上がるまでの固定費に充てる

店舗を借りる場合は賃料と内装で数百万円が上乗せされますが、店舗は必須ではありません。IBJ公式も自宅・コワーキングスペース・レンタルオフィスでの開業を明示しており、面談はカフェの個室やオンラインで代替できます。連盟別の詳しい内訳と資金計画の立て方は、開業資金の記事で補足しています。

編集部の見解

連盟を比較するときは、「初期費用+月額×18ヶ月」の総コストで並べてみてください。加盟金が安い連盟は会員データベースや研修がそのぶん軽く、集客や運営のコストが後から自己負担で発生します。入口の金額だけを並べた比較は、実際の負担額を映しません。

収入モデルの現実|「平均的な相談所」を一次データから計算する

結婚相談所の収入は、会員から受け取る入会金・月会費・成婚料の3層でできています。一般に入会金は3〜10万円、月会費は5千〜1万5千円、成婚料は20〜30万円の価格帯に設定している相談所が多く、これにお見合い1回ごとの料金(5千〜1万円)を設ける相談所もあります。いずれにせよ、会員数が収入をほぼ決めます。

では、平均的な相談所には何名の会員がいるのか。IBJのIR資料から計算できます。

2026年3月末時点で、IBJ加盟店に所属する登録会員は77,248名。加盟する相談所は4,783社(直営店を除くと約4,750社)です。つまり、

77,248名 ÷ 約4,750社 ≒ 1社あたり約16名

これが「平均的なIBJ加盟店」の会員数です。トップ相談所が平均を押し上げていることを考えると、中央値はさらに小さいと見るのが自然です。

この16名で年商を概算してみます(月会費1万円・成婚料20万円・入会金5万円と仮定した場合の試算です)。

収入源 計算 年間
月会費 16名 × 1万円 × 12ヶ月 約192万円
成婚料 年間成婚 約6名 × 20万円 約120万円
入会金 退会分の補充 6〜8名 × 5万円 約30〜40万円
年商合計 約340〜350万円

成婚数の根拠も一次データです。IBJ全体では年間20,970組(2025年)が成婚しており、1組につき2名の会員が成婚退会します。IBJ全体の登録会員数は直営店を含めて約10.5万名(2025年末時点104,859名)ですから、およそ4割の会員が1年のうちに成婚退会する計算です。加盟店だけの成婚数はIRに開示がないため、この全体比率を平均16名の加盟店に当てはめると、年間の成婚は6名前後になります。

注意したいのは、この340〜350万円が「年収」ではなく「年商」だという点です。ここから連盟費用と広告・集客費、通信費などを引いた残りが手元に残ります。IBJの例で連盟費用は年38万円ほど(固定18,800円×12ヶ月+会員活動費750円×16名×12ヶ月+新規登録料)=年商の約11%。集客費を年40万円とすると、手元に残るのは250〜300万円、つまり営業利益率で7〜8割です。仕入れも在庫も店舗も要らないため、業種としては例外的に高い水準になります。ただし広告に年100万円かければ利益率は6割を切ります。手取りを決めるのは集客費の使い方です。

編集部の見解

平均像は「兼業で回して年商300万円台」です。専業で生活するには平均の2〜3倍、会員30〜40名が必要で、そこに到達できるかは婚活サポートの腕ではなく集客力で決まります。開業を検討する段階で「自分はどこから会員を集めるか」に具体的な答えを持っているかどうかが、専業可否の分水嶺です。

「儲からない」と言われる理由と、実際の退出率

「結婚相談所は儲からない」という検索が毎月一定数あります。実態を数字で確認しましょう。

IBJのIR資料では、2025年の1年間に874件が新規開業しています。一方、加盟相談所の総数は同じ1年間で4,541社から4,766社へと、225社しか増えていません。つまり、

874件(新規開業) − 225社(純増) = 約650社が1年間に退出

母数に対して年間約14%。この「退出」には廃業だけでなく連盟の移籍・脱退も含まれるため全てが失敗ではありませんが、7社に1社が毎年入れ替わる市場だという事実は、開業前に知っておくべき数字です。

では、店が増えすぎて席がなくなりつつあるのか。ここは逆の動きが出ています。直近の前年同期比(2025年3月末→2026年3月末)で見ると、加盟相談所は+5.3%(4,541→4,783社)増えましたが、加盟店が抱える登録会員は+13.6%(68,029→77,248名)増えました。割り算すると1社あたりの平均会員数は約15.0名から約16.2名へ増えています。店の数より会員の増え方が速い。後から入る余地はまだ残っています

退出の主因は、収入の立ち上がりの遅さです。会員ゼロから始めて、月会費収入が固定費を超えるまでに通常12〜18ヶ月かかります。この期間の集客がうまくいかず、「損はしていないが増えもしない」状態のまま畳むケースが典型です。

一方で、この事業の退出コストは極めて低いのも事実です。在庫はなく、店舗契約も必須ではないため、撤退時に大きな負債が残りにくい。「小さく始めて小さく失敗できる」ことは、開業のリスク設計上は明確な利点です。どこまでの規模を一人で抱えられるのかは、個人経営の上限を時間から計算した記事で検証しています。

編集部の見解

「儲からない」の実像は、大損して潰れるではなく「増えないから畳む」です。IBJで失敗する場合の損失額は失敗を数字で検証した記事で会員数別に出しています。平均年商・利益率・退出率の詳しい分解は年商と退出率を検証した記事で扱っています。だからこそ、始める前に撤退条件(例:18ヶ月で会員10名に届かなければ畳む)を決めておくことをおすすめします。撤退ラインが明確なら、この事業は挑戦のコストが小さい部類に入ります。

資金面でひとつ先に断っておくと、小規模事業者持続化補助金で加盟金を払うことはできません。補助対象は機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費など8種類に限定されており、連盟に払うお金は公募要領で明確に対象外とされています。使えるのは自分で発注するサイト制作費やチラシ代です。詳しくは開業資金の記事で扱っています。

開業までの5ステップ

開業までの流れは、どの連盟を選ぶ場合もほぼ共通です。

ステップ やること 期間の目安
① 情報収集 複数連盟の資料を取り寄せ、費用と条件の相場観を作る 1〜2週間
② 連盟の比較 会員数・費用・サポートを横並びで比較し、2〜3社に絞る 1〜2週間
③ 説明会・面談 絞った連盟の説明会に必ず複数参加する 2〜4週間
④ 契約・研修 加盟契約後、連盟の研修を受講(IBJの例で6ヶ月・開業と並行可) 1〜6ヶ月
⑤ 開業準備 開業届・料金表・契約書面・集客導線(HP/SNS)の整備。チラシやサイト制作費には小規模事業者持続化補助金を使える場合がある 2〜4週間

最も差がつくのは③です。1社の説明会だけで契約するのが、開業検討で最も多い失敗パターンです。連盟の説明会は当然その連盟の良い面が中心になるため、比較対象を持たないまま聞くと相場観のないまま契約することになります。最低でも2社、費用体系の異なる連盟(初期費用が重い連盟と軽い連盟)を並べて聞くと、各社の説明の意味が立体的に理解できます。

連盟選びで迷ったら、まずIBJを基準に置くのが早道です。登録会員107,597名は業界最大で、しかもその数字を四半期ごとにIR資料で開示している連盟は他にありません。加盟金220万円が高いのかどうかを、営業の説明を待たずに自分で検算できます。基準を持たずに説明会へ行くと、提示された条件が高いのか安いのかを判断する材料がありません。

費用の全項目を無料の資料で確認する

無料。この段階で加盟を決める必要はありません
(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)

開業後の集客|最初の10名をどこから連れてくるか

ここまで費用と収入を計算してきましたが、それらはすべて「会員が集まれば」の話です。退出の主因も、専業になれるかどうかの分かれ目も、結局は集客に返ってきます。この事業で唯一むずかしいのがここなので、開業を決める前に道筋を持っておいてください。

会員は何を求めて相談所に来るのか

集客の設計は、来る人の動機を知ることから始まります。IBJが成婚者に聞いた入会理由がそのまま材料になります。

入会した理由 男性 女性
出会いがなかったから 34.1% 24.4%
活動者の真剣度が高いから 25.4% 28.9%
他の婚活ツールでうまくいかなかったから 11.8% 11.0%
第三者のサポートがあったから 9.9% 10.9%
短期間で結婚したかったから 9.1% 14.3%
結婚相談所で結婚した知人がいるから 3.9% 7.6%

上位2つで男性は59.5%、女性は53.3%を占めます。「出会いがない」と「真剣な人と会いたい」。裏を返せば、相談所に来る人はアプリや合コンの代わりを探しているのではなく、そこで消耗した結果としてたどり着いています。「他の婚活ツールでうまくいかなかったから」が男女とも1割を超えているのがその証拠です。

だから発信の中身も決まります。安さや会員数を訴えるより、アプリで疲れた人に向けて「なぜうまくいかなかったのか」を言語化するほうが刺さります。同じ調査で「入会後に感じたメリット」の最多回答が「効率よく活動できる(交際が長引かない等)」(男性35.3%・女性35.4%)だった点も、同じ方向を指しています。

地元か、地元以外か

もうひとつ、集客チャネルを決める前に見ておきたいのが地域性です。成婚者のうち地元で婚活していた人は男性51.7%・女性56.2%。残りの男性48.3%・女性43.8%は地元を離れて活動しています。理由の過半は「進学や就職で既に地元を離れていたから」(男性63.9%・女性54.0%)でした(IBJ成婚者調査)。

つまり商圏は半分ローカル、半分オンラインです。地方で開業するなら地域コミュニティからの紹介が中心になり、都市部なら検索とSNSからの流入が主戦場になります。自分の商圏がどちらに寄るかで、次の章の配分が変わります。

チャネル別の現実

紹介・人脈、自社サイト+検索、SNS、Web広告、婚活イベント、異業種提携。使えるチャネルはこの6つですが、すぐ会員が来るチャネルほどお金がかかり、お金のかからないチャネルほど時間がかかります。チャネル別の費用と、会員1名にいくらまでかけてよいかの計算は集客費の上限を計算した記事にまとめました。

現実的な組み立ては、最初の3〜5名を紹介・人脈で作り、その間に検索とSNSを育てるという二段構えです。連盟によっては集客支援やHP提供もありますが、会員を連れてきてくれるわけではありません。連盟が提供するのは会員データベースと運営の手順であって、集客は自分の仕事だと考えてください。

編集部の見解

開業前にひとつだけ宿題を出すとすれば、「最初の10名を、実在する人の顔で10人書き出す」ことです。誰に声をかけるか、どのコミュニティから来てもらうか。ここが埋まらないまま加盟金を払うと、無収入の12〜18ヶ月をただ待つことになります。逆にこれが埋まる人にとって、この事業の参入障壁はかなり低いといえます。集客の当てがある人とない人で結果がどう分かれるかは、年商と退出率を検証した記事で、失敗する3つのパターンとして具体的に見ています。

連盟(フランチャイズ)の選び方|実額で見る3つのタイプ

連盟選びの軸は4つあります。①会員データベースの規模、②初期費用と月額、③研修・サポートの厚さ、④成婚の定義とルールです。

各連盟が公式に公表している実額を並べると、費用体系がはっきり3つに分かれます。

連盟(例) 初期費用 月額 会員基盤(公表値)
IBJ(日本結婚相談所連盟) 加盟金200万円
(税込220万円)
研修費・保証金0円
18,800円
(月会費15,000円+カウンセラー1名分3,800円・税抜)
別途1会員あたり月750円
登録会員107,597名
(直営店含む全体。加盟店分は77,248名)
加盟相談所4,783社
TMS(全国結婚相談事業者連盟) 保証金・ロイヤリティ0円 固定12,000円 SCRUM 68,406名
CONNECT-ship 14,797名
加盟1,422店
JBU(全国結婚相談所連盟) 加盟金・研修費・登録料 すべて0円 11,000円(税込)

※各連盟公式サイトの公表値(2026年8月確認)。税表記は各公式サイトの記載に準拠(IBJ=税抜・JBU=税込・TMSの月額は公式に税表記なし)。TMSの加盟金は公式サイトに明記がないため説明会での確認事項です。

構造は単純です。初期費用が重い連盟は、会員データベースと研修がそのぶん厚い。初期費用0円の連盟は、自走が前提。どちらが正解かは、あなたが「運営のノウハウと会員データベースを買いたい人」か「すでに見込み客とスキルがある人」かで変わります。なお前章のとおり、会員を連れてくる部分はどの連盟を選んでも自分の仕事です。高い連盟で買えるのは研修と運営ノウハウと会員の母数であって、集客の代行ではありません。

会員データベースの規模は、そのまま「あなたの会員にお見合い相手を紹介できる確率」です。月々の安さだけで選ぶと、会員に紹介できる相手が少ないという形で跳ね返ることは覚えておいてください。なお連盟は上の3社のほかにもBIU(日本ブライダル連盟)など複数あり、費用・条件の全連盟横断比較は連盟6社の比較記事に、最大手の費用内訳はIBJ加盟の記事にまとめています。

向いている人・必要なスキル|資格の代わりに問われるもの

資格が要らない代わりに、実務では別の適性が問われます。開業してから気づくと戻れないので、先に確認しておいてください。

問われる力 具体的に何をするか
集客を続ける力 収入が立たない期間も発信と営業を止めない。適性というより習慣の問題で、成否への影響は最も大きい
聞く力 会員が言葉にできていない条件や不安を引き出す。断られて落ち込んだ相手を立て直すのも仕事のうち
細かい事務を回す力 お見合いの日程調整、書面管理、期日の管理。会員が増えるほど連絡の本数が積み上がる
線を引く力 個人の機微な情報を扱い、恋愛の相談に踏み込む仕事です。感情移入しすぎず、対応時間の線も引ける必要がある

逆に、必須ではないものもはっきりしています。結婚歴も、若さも、カウンセリングの資格も要りませんIBJの成婚者調査では「カウンセラーのサポートは必要だった」の回答が男性89.1%・女性92.5%に達しますが、そこで評価されているのは資格ではなく、経緯を知っている担当が伴走し続けたことです。

はじめての起業でこの事業を選ぶなら、向いているのは人の話を聞くのが苦にならず、かつ結果が出ない時期にも手を動かし続けられる人です。前者だけでは会員が集まらず、後者だけでは会員が続きません。どこまでの人数を一人で抱えられるかは、個人経営の上限を計算した記事で時間から逆算しています。

副業で始める場合の現実

結婚相談所は、副業と相性の良い事業です。会員との面談やお見合いの調整は平日夜・土日に寄せられ、お見合い自体もオンライン化が進んでいるため、週10時間前後の稼働で数名〜10名程度の会員をサポートする運営が現実的に組めます。IBJも副業での開業を公式に認めています。

時間の面から上限を計算すると、会員1名あたりに必要な時間は月2〜3時間(IBJが公表する成婚者のお見合い回数と在籍期間からの積み上げ)。週10時間の副業なら会員12名前後、専業(週40時間・うち半分を集客に充てる前提)なら34名前後が目安です。業界平均の16名は、副業と専業のあいだ、やや副業寄りの投下時間で届く水準にあたります。

会社員が始める場合のチェックポイントは3つです。

  • 就業規則の副業規定:許可制の会社なら先に手続きを。無許可の副業発覚は本業を傷つけます
  • 住民税:開業届を出して事業所得が出ると住民税額が変わるため、会社経由の特別徴収のままだと経理部門に増額が見えます。確定申告時に普通徴収を選ぶのが定石です
  • 平日日中の対応:問い合わせへの初動が遅いと入会率が下がります。返信できる時間帯を明示するなど、兼業前提の導線設計が必要です

結婚相談所の開業でよくある質問

年齢制限はありますか?

ありません。連盟の加盟に年齢の上限を設ける例はほとんどなく、実際にはセカンドキャリアとして50〜60代で開業する人が多い業界です。人生経験や人脈は、この事業ではそのまま資産になります。

未経験でも開業できますか?

できます。年間874件の新規開業の大半は業界未経験者で、主要連盟の研修は未経験を前提に設計されています。問われるのは婚活業界の経験ではなく、集客の実行力です。

男性でも開業できますか?

できます。性別の要件はありません。男性会員の相談には男性オーナーのほうが話しやすいという声もあり、性別そのものは有利にも不利にも働きません。

自宅の住所を公開せずに開業できますか?

できます。面談をオンラインやカフェで行えば自宅を明かす必要はなく、特定商取引法に基づく表記の住所はレンタルオフィス等の利用で対応できます。契約書面に記載する事業者住所の扱いは、加盟時に連盟へ確認してください。

辞めたくなったらどうなりますか?

連盟との契約は解約できますが、解約時の条件(最低契約期間・違約金の有無)は連盟ごとに異なるため、契約前に必ず確認すべき項目です。また、在籍中の会員には役務提供の責任が残るため、中途解約の精算ルールを整えてから畳むことになります。

まとめ|検討の次の一歩

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 結婚相談所の開業は連盟加盟モデルが標準形。資格・許認可は不要だが、特定商取引法の書面義務はある
  • 開業資金の幅は0円〜税込220万円で、連盟の加盟金がほぼすべてを決める
  • 平均的な加盟店は会員約16名・年商340万円前後(IBJ IRからの概算)。専業にはその2〜3倍が必要
  • 年間874件が開業し、約650社が退出する市場。撤退条件を決めてから始める
  • 連盟選びは会員データベースの規模×費用×サポートで。説明会は必ず複数参加する

検討を進めるなら、まず費用体系の異なる連盟の資料を2〜3社分並べることから始めてください。1社の説明だけでは、その条件が高いのか安いのかすら判断できません。資料請求は無料で、比較の基準を作るのが目的です。

加盟店1社あたりの平均会員数は、この1年で15.0名から16.2名へ増えました。店の数が増えても、1社の取り分はむしろ増えている。これを数字で確認できるのがIBJです。この事業は始めるより、始めどきを逃すほうが損失は大きい。まずは資料で費用と条件の実物を見てください。

費用の全項目を無料の資料で確認する

無料。この段階で加盟を決める必要はありません
(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)

執筆:結婚相談所開業ナビ編集部(調査責任者:成田風輝)。本記事の数値は、IBJ(東証プライム上場)のIR資料と各連盟公式サイトの公表値を一次資料として確認しています(最終確認:2026年8月)。IR資料の更新(四半期ごと)にあわせて数値を見直します。運営者情報・編集方針は運営者ページをご覧ください。

この記事を書いた人

成田 風輝(なりた ふうき)

結婚相談所開業ナビ 調査責任者。上場企業のIR資料・公的統計・各連盟の公式公表値をもとに、業界の数字を検証して記事にしています。M&A仲介の手数料を比較するM&A手数料ナビも運営。

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