結婚相談所の開業資金はいくら?3つの資金プラン

結婚相談所の開業資金は「200万円」と書くサイトもあれば、「ほぼ0円で始められる」と書くサイトもあります。どちらも間違いではありません。加盟する連盟によって、必要額が0円〜220万円まで変わるからです。

この記事では、主要連盟の公式公表額をもとに、開業資金の内訳を「連盟費用」「設備・ツール」「運転資金」の3つに分解し、予算別の資金プランを3パターンで示します。金額はすべて各公式サイトで確認した実額です(2026年8月確認)。

結論:開業資金は3パターン|約25万円・約110万円・約270万円

先に全体像です。詳細な内訳は後述します。

プラン 初期+運転資金の目安 連盟のタイプ 向いている人
A:副業ミニマム 約25万円〜 加盟金0円・月額のみ型 集客の当てがあり、小さく試したい
B:バランス 約110万円〜 中間型(初期66万円級) データベースと支援をほどよく買いたい
C:フルパッケージ 約270万円〜 加盟金型(IBJ 税込220万円) 未経験から研修と最大母数で立ち上げたい

「開業資金はいくら必要か」という問いの答えは、実は金額ではなく「どのタイプの連盟で始めるか」の選択です。以下、内訳を1つずつ開きます。

内訳①:連盟費用|開業資金の最大変数

開業資金の大半を決めるのが、連盟への初期費用です。主要連盟の公式公表額を並べます。

連盟 初期費用 月額
JBU(全国結婚相談所連盟) 0円 11,000円(税込)
日本仲人協会 0円※説明会後1週間以内の加盟が条件 11,000円
TMS(全国結婚相談事業者連盟) 公式に明記なし(説明会で確認) 12,000円
BIU(日本ブライダル連盟) 66万円(税込) 15,000円(税区分の明示なし)
NNR(日本仲人連盟) 66万円(税込) 要確認
IBJ(日本結婚相談所連盟) 200万円(税込220万円) 15,000円+3,800円/名(税抜)

※各連盟公式サイトの公表値(2026年8月確認)。初期費用の安い連盟は自走前提、重い連盟は研修・会員規模込みという構造の違いがあります。

重要なのは、初期費用の差が「何が含まれるかの差」だという点です。たとえばIBJの加盟金には6ヶ月の立ち上げ研修と登録会員107,597名のデータベース利用が含まれます。0円の連盟は接続のみを提供し、教育・集客は自分で組み立てます。高い=損、安い=得ではなく、自分に必要なものが含まれているかで選んでください。連盟ごとの詳しい違いは連盟比較の記事にまとめています。

内訳②:設備・ツール|箱にお金は要らない

連盟費用の次に考えるのが設備です。ここは徹底的に軽くできます。

項目 目安 備考
PC・プリンタ 0〜10万円 手持ちのPCで開業可。契約書面の印刷環境は必要
ホームページ・名刺 0〜20万円 開業時は無料ツール+SNSでも成立。集客本格化の段階で投資
面談場所 0円〜 自宅・オンライン・カフェの個室で代替可。店舗契約は必須ではない
プロフィール写真・販促物 数万円 自身の顔写真は信頼に直結するため、ここは節約しすぎない

事務所や内装への先行投資は、この事業では必須ではありません。主要連盟も自宅・レンタルオフィスでの開業を認めています。設備は「会員が付いてから、必要になった分だけ」が原則です。

内訳③:運転資金|見落とされる第3の費用

開業資金の話で最も見落とされがちなのが運転資金です。会員収入が積み上がるまでの間も、連盟の月額と集客費は毎月出ていきます。

運転資金の目安 = 連盟の月額 × 12〜18ヶ月分 + 集客費

月額11,000円の連盟なら12〜18ヶ月分で約13〜20万円、IBJ(月18,800円税抜〜)なら約23〜34万円。ここに広告やSNS運用などの集客費を、自分の集客手段に応じて上乗せします。

収入の立ち上がりには時間がかかる前提で、最初から12〜18ヶ月分の固定費を確保しておくと、焦らずに集客へ集中できます。逆にここを用意せずに始めると、資金より先に気持ちの余裕がなくなります。

なお、専業で始める場合は事業の運転資金とは別に、自分の生活費12ヶ月分程度を別枠で確保してください。兼業なら本業収入がこの役割を果たします。副業スタートが推奨されやすい理由の半分は、この生活防衛資金の問題です。

編集部の見解

開業資金の質問で本当に大事なのは「いくらあれば始められるか」より「いくらあれば続けられるか」です。初期費用を最小化しても、運転資金が3ヶ月分しかなければ苦しい。プランを1段落として(例:C→B)、浮いた分を運転資金に回す配分のほうが、立ち上がりは安定します。

3つの資金プランの中身

プランA:副業ミニマム(約25万円〜)

連盟初期費用(0円型) 0円
設備・ツール 約5万円
運転資金(月1.1万円税込×18ヶ月。集客は手持ちの人脈・発信を使う前提のため広告費0円で試算) 約20万円
合計 約25万円

本業の収入がある人が、人脈・SNSなど手持ちの集客資産で小さく始める形です。月会費1万円の会員が2名いれば連盟の月額固定費(1.1万円)を上回る、損益分岐の低さが持ち味です。教育・集客支援は付かないため、「最初の数名をどこから連れてくるか」に既に答えがある人向けです。

プランB:バランス(約110万円〜)

連盟初期費用(66万円級・税込) 約66万円
設備・ツール 約10万円
運転資金(月1.5万円×18ヶ月≒27万円+集客費7万円) 約34万円
合計 約110万円

データベースと基本サポートを買いつつ、初期投資を100万円前後に収める形。月額固定費(1.5万円)は会員2名で回収でき、初期の66万円をどう取り戻すかが計画の中心になります。兼業から専業移行を視野に入れる人の現実的な中間解です。

プランC:フルパッケージ(約270万円〜)

連盟初期費用(IBJ・税込) 220万円
設備・ツール 約10万円
運転資金(月18,800円税抜×18ヶ月≒34万円+集客費6万円。集客研修が加盟金に含まれるぶん、広告依存を小さく試算) 約40万円
合計 約270万円

最大規模のデータベースと6ヶ月研修を最初から使う形です。IBJは公式FAQで「個人での開業であれば、会員5〜6名で投資回収が可能」と説明しています(この水準は会員1名の生涯価値ベースの考え方で、18ヶ月と期限を切った保守的な試算では会員10名+成婚6名が回収ラインになります)。未経験から専業を目指す人が、運営ノウハウと会員の母数をまとめて買う選択です。費用の詳しい分解はIBJの記事で扱っています。

3つのプランのうちどれを選ぶかは、連盟の実額が分からないと決められません。IBJなら加盟金220万円の内訳と、頭金11万円からの分割条件が資料に載っています。総額が分からないまま資金計画を立てるのが、いちばん危ない進め方です。

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無料。この段階で加盟を決める必要はありません
(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)

手元資金が少ないときの3つの手段

① 分割払い。IBJの場合、加盟金200万円(税抜)は頭金11万円〜・3〜84回の分割に対応しています(初回39,061円〜・2回目以降34,100円〜、公式公表値・税抜)。まとまった自己資金がなくても、月々の支払いに変換して始める道があります。分割手数料を含む総支払額は契約前に必ず書面で確認してください。

② 小規模事業者持続化補助金<創業型>。創業後1年以内の小規模事業者を対象に、販路開拓の経費を上限200万円・補助率2/3で補助する制度です(特例の活用で上限は最大250万円)。開業したばかりの相談所はまさに対象で、通常枠より上限がひと桁大きいため、使えるなら創業型を狙います。ただし要件と対象経費に大きな落とし穴があるので、次の章で分けて説明します。

③ 日本政策金融公庫の創業融資。新規開業・スタートアップ支援資金(融資限度額7,200万円)など創業期向けの制度があり、開業届と事業計画書を整えれば個人事業でも申し込めます。連盟の説明会資料は事業計画の根拠資料としても使えます。担保・保証人は相談ベースのため、金利と合わせて公庫の公式情報で確認を。

いずれの手段も、「返す・報告する」前提の資金です。回収シミュレーション(会員数×客単価)とセットで計画してください。

補助金は加盟金に使えない|対象になる費用とならない費用

「加盟金220万円が補助金や助成金で戻ってくるなら」と考える人は多いのですが、結論から言うと加盟金は補助対象になりません。なお助成金は要件を満たせば原則受給できる制度(多くは厚生労働省の雇用関連)、補助金は審査があり採択されないと受け取れない制度を指します。従業員を雇わない一人開業の段階では使える助成金はほとんどないため、実務上は補助金を検討することになります。ここを勘違いしたまま資金計画を立てると、200万円の穴が空きます。理由は公募要領にはっきり書かれています。

補助対象になるのは8種類の経費だけ

中小企業庁の創業型 第4回公募要領は、補助対象経費を次の8つに限定しています。

①機械装置等費/②広報費/③ウェブサイト関連費/④展示会等出展費/⑤旅費/⑥新商品開発費/⑦借料/⑧委託・外注費

加盟金・入会金・月会費・システム利用料は、このどれにも当てはまりません。公募要領も「これ以外の経費は本事業の補助対象外です」と明記しています。

さらに念押しの規定があります。補助対象外経費の項に、「自社内部やフランチャイズチェーン本部との取引によるもの(フランチャイズチェーン指定の機器等を本部以外から購入する場合等も含みます)」と書かれています。連盟に払うお金は、名目を問わず対象外と考えてください。広報費の対象外例にも「フランチャイズ本部の作製する広告物の購入」が挙がっています。

では何に使えるのか

相談所の開業で現実的に通しやすいのは、次のような自前の販路開拓費用です。

  • 自社サイトの制作費(ウェブサイト関連費)-連盟から与えられるページではなく、自分で発注するサイト
  • チラシ・パンフレット・看板の制作費(広報費)
  • 相談スペースの賃借料(借料)-ただし保証金・敷金・仲介手数料・駐車場代・光熱水費は対象外
  • 面談用のPC・撮影機材など(機械装置等費)
  • 婚活イベント・相談会への出展料(展示会等出展費)

注意点として、広報費とウェブサイト関連費は単独で申請できません。必ず他の経費と組み合わせる必要があります。「ホームページ代だけ」では申請が成立しません。

見落とされがちな2つの条件

条件1:先に自治体の創業支援を受けていること。創業型には、産業競争力強化法に基づく認定市区町村(または認定連携創業支援等事業者)が実施する「特定創業支援等事業」の支援を受けた日開業日の両方が、公募締切から過去1年以内に収まっていることという要件があります。申請時には認定市区町村が発行した証明書の写しが必要です。多くは自治体や商工会議所の創業セミナーが該当しますが、受講から証明書の発行まで時間がかかるため、開業を決めた段階で市区町村の窓口に確認しておくのが実務です。

条件2:交付決定より前に払ったお金は戻らない。公募要領は「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」を対象外としています。開業を急いでサイトを作り、あとから申請しても対象になりません。補助金を使うつもりなら、支出のタイミングを交付決定の後ろにずらす設計が必要です。また申請時点で開業していない創業予定者は対象外で、開業届の開業日が申請日より後になっていても対象になりません。

第4回公募は2026年11月5日受付開始・12月15日締切と公表されています(受付回ごとに条件が変わるため、申請前に最新の公募要領で確認してください)。採択審査があり、不採択もあります。補助金は「もらえる前提」で資金計画に組み込まないこと。当てが外れても回る計画を作ったうえで、通ったら前倒しできる、という位置づけが安全です。

資金計画で失敗しない3原則

原則①:箱にお金を使わない。事務所・内装・高価な備品は、会員がつく前の段階では収益に寄与しません。自宅+オンラインで始めて、投資は集客が回り始めてから。

原則②:初期費用は回収線から逆算する。「いくら払えるか」でなく「何名集められそうか」から逆算します。会員のあてが数名分なら0円型、専業で30名を目指す計画ならフルパッケージ、という順序です。

なお、どの規模まで一人で回せるかは個人経営の上限を計算した記事で扱っています。手が足りるかどうかは、資金計画と同じくらい先に確かめておきたい点です。

原則③:運転資金を先に確保する。初期費用に全額を使い切らず、12〜18ヶ月分の月額固定費を最初に取り分けておく。この余裕が、焦りのない集客と丁寧な会員対応を支えます。

よくある質問

自己資金11万円でも始められますか?

IBJの分割(頭金11万円〜)を使えば入口には立てますが、月々の支払いと連盟月額が並走します。総額約25万円の「プランA」(0円型連盟+設備5万円+運転資金20万円)のほうが、資金構造はシンプルです。自分の集客資産と相談して選んでください。

融資は個人事業でも受けられますか?

受けられる可能性があります。日本政策金融公庫には創業期向けの融資制度があり、法人でなくても申し込めます。事業計画書の作成が前提になるため、この記事の内訳表を計画のたたき台に使ってください。

補助金で加盟金を払えますか?

払えません。小規模事業者持続化補助金の対象経費は機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費など8種類に限定されており、加盟金や月会費は含まれません。公募要領は連盟(フランチャイズ本部)との取引そのものを対象外と定めています。補助金が使えるのは、自分で発注するサイト制作費やチラシ代といった販路開拓の費用です。

開業前に必要な手続きは何ですか?

個人で始めるなら税務署への開業届だけです。国家資格も許認可も要りません。ただし結婚相談所は特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たるため、契約時の書面交付には決まった様式があります。詳しくは資格と手続きの記事で扱っています。

法人化は必要ですか?

開業時点では不要です。個人事業の開業届だけで始められます(開業届は弥生のかんたん開業届などの無料ツールでも作成できます)。利益が年数百万円の規模に育ち、節税や契約上の必要が出てから検討すれば十分です。

開業後に増える費用はありますか?

会員数に連動する費用(IBJなら会員活動費750円/名・月、新規登録2,000円/件など)と、集客を強化する際の広告費です。固定費そのものは会員が増えても大きくは変わらない構造です。

まとめ

  • 開業資金は連盟しだいで約25万円〜約270万円。金額の違いは「含まれるものの違い」
  • 内訳は連盟費用+設備・ツール+運転資金の3つ。箱への投資は不要
  • 見落とされがちなのは運転資金(月額×12〜18ヶ月)。ここを先に確保する
  • 資金が少なくても分割(IBJ頭金11万円〜)・公庫融資の道がある
  • 補助金で加盟金は払えない。使えるのはサイト制作費やチラシ代など自前の販路開拓費
  • プラン選びは「いくら払えるか」でなく「何名集められそうか」から逆算する

次の一歩は、候補の連盟の資料で正確な費用一覧を取り寄せ、この記事の内訳表に自分の数字を入れてみることです。総額が見えれば、資金計画は半分終わっています。開業までの手順を通しで確認したい場合は開業ガイドへ戻ってください。

手元資金が少なくても、IBJは頭金11万円からの分割に対応しています。加盟金220万円の回収は標準ケースで開業19ヶ月目。この記事の内訳表に実額を入れれば、自分の資金計画に収まるかどうかが見えます。資金が足りるかどうかを、正確な数字を持たないまま悩み続けるのがいちばん時間の無駄です。

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(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)

執筆:結婚相談所開業ナビ編集部(調査責任者:成田風輝。上場企業のIR資料・公的統計を用いた業界データの調査・分析を担当)。本記事の費用は各連盟の公式サイト公表値を一次資料として確認しています(最終確認:2026年8月)。条件は変更されることがあるため、契約前に必ず最新の公式資料で確認してください。運営者情報・編集方針は運営者ページをご覧ください。

この記事を書いた人

成田 風輝(なりた ふうき)

結婚相談所開業ナビ 調査責任者。上場企業のIR資料・公的統計・各連盟の公式公表値をもとに、業界の数字を検証して記事にしています。M&A仲介の手数料を比較するM&A手数料ナビも運営。

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