婚活ビジネスは儲かるのか|3業態を実額で比較

婚活ビジネスで起業したいと考えたとき、選択肢は1つではありません。結婚相談所、婚活パーティー、マッチングアプリ。同じ「婚活」でも、必要な資金も、収益の作り方も、参入の難しさもまったく違います。

この記事では、東証プライム上場のIBJが開示するIR資料をもとに市場の実額を計算し、3つの業態を参入コストと収益構造で比較します。「儲かるかどうか」は業態を決めた時点で半分決まるので、そこから逆算して考えます。

結論:一人で始めるなら結婚相談所、それ以外は資本が要る

先に3業態を並べます。

業態 初期費用 収益源 一人で可能か
結婚相談所 0円〜税込220万円 入会金・月会費・成婚料 可能
婚活パーティー主催 数万円〜 参加費(1回あたり) 可能だが単価が低い
マッチングアプリ運営 数千万円〜 月額課金・課金アイテム 不可能

結論を一言でいうと、個人が現実的に選べるのは結婚相談所か婚活パーティーの2つです。アプリ運営は開発費・広告費・24時間の監視体制が必要で、個人の起業として成立しません。

そして相談所とパーティーを比べると、収益の積み上がり方が決定的に違います。以下、数字で見ていきます。

婚活ビジネスの市場規模を実額で出す

「婚活市場は拡大している」という説明はよく見かけますが、金額で示している記事はほとんどありません。IBJの開示資料から計算できます。

IBJのIR資料には、国内の婚姻数505,656組という数字と、IBJネットワーク経由の成婚20,970組(2025年)が記載されています。

20,970組 ÷ 505,656組 = 約4.1%

日本の結婚の約4%が、IBJ1社のネットワークから生まれている計算です。相談所業界全体では他連盟もあるため、実際の比率はこれより高くなります。

金額に直すとこうなります。

収入源 計算 年間
会員が払う年会費 登録会員107,597名 × 月1万円 × 12ヶ月 約129億円
成婚料 20,970組 × 2名 × 20万円 約84億円
合計 約213億円

会員数・成婚組数はIBJのIR開示値。料金は複数の相談所で一般的な価格帯を仮定した概算。会員数が同水準で推移する定常状態を前提に12ヶ月分で計算しています(在籍期間の中央値は約8.4ヶ月ですが、退会分を新規入会が埋めて会員数が維持されるため、年間の会費総額は12ヶ月分になります)。実際の料金は相談所ごとに異なります

⚠️この213億円は会員が支払う総額(市場規模)であって、IBJという会社の売上ではありません。月会費や成婚料の大半は各加盟店の収入で、IBJ本体が受け取るのは加盟店から支払われる月会費・会員活動費です。混同しないでください。

これはIBJネットワーク1つ分の規模です。TMS・BIU・NNRなど他の連盟、さらに大手直営や連盟に属さない相談所を足すと、相談所業態だけで数百億円の市場になります。マッチングアプリを含めた婚活サービス全体では、さらに大きくなります。

3つの業態を収益構造で比較する

市場が大きいことと、自分が稼げることは別です。業態ごとに収益の作り方を見ます。

結婚相談所|積み上がるが立ち上がりが遅い

会員1名から入会金5万円・月会費1万円・成婚時に20万円を受け取る形が一般的です。会員が在籍している限り月会費が入り続けるため、収入が積み上がる構造です。

IBJ加盟店の平均会員数は約16名で、この規模なら年商340〜350万円。営業利益率は7〜8割と高く、仕入れも在庫も店舗も要りません。詳しい計算は年商と退出率を検証した記事で扱っています。

弱点は立ち上がりの遅さです。会員ゼロから始めるため、収入が固定費を超えるまで12〜18ヶ月かかります。この期間に耐えられるかどうかが分かれ目になります。

婚活パーティー|すぐ売上が立つが積み上がらない

会場費と集客さえ用意できれば、初回から売上が発生します。参加費5,000円で20名集まれば1回10万円。会場費や人件費を引いても手元に数万円が残ります。初期費用は数万円で済み、参入のハードルは3業態で最も低いといえます。

主催に資格は不要です。会場を押さえて集客できれば誰でも開けます(不特定多数を集めるため、会場の用途や消防法上の収容人数だけは確認してください)。

ただし収益は毎回ゼロからです。今月10万円を売り上げても、来月また20名を集めなければ収入はありません。参加者との関係が単発で終わるため、集客の労力が毎回かかります。

そのため、パーティーを単体の事業にするより、相談所の集客手段として使うほうが実務的です。参加者をそのまま会員化できれば、単発の売上が継続収入に変わります。

マッチングアプリ|個人では参入できない

会員数が価値を生むビジネスなので、初期に大量のユーザーを集める必要があります。開発費に数千万円、広告費にそれ以上、さらにインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律により、都道府県公安委員会への届出(第7条)と24時間の監視体制が要求されます。

先行するサービスが市場を押さえている領域でもあり、個人の起業対象にはなりません。ただし相談所にとっては競合ではなく、供給源です。IBJの調査では、入会理由に「他の婚活ツールでうまくいかなかったから」を挙げた成婚者が男女とも11%を超えています。アプリで消耗した層が相談所に流れてくる構造があります。

3業態のうち相談所を選ぶなら、次に決めるのは連盟です。初期費用0円か、加盟金を払って研修と会員データベースを買うかで、立ち上がりの速さも損失の上限も変わります。IBJは会員数と成婚数をIRで開示している唯一の連盟なので、比較の基準に使えます。

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無料。この段階で加盟を決める必要はありません
(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)

「婚活ビジネスは儲かる」の中身

婚活ビジネスが儲かると言われる理由は、たいてい利益率の高さです。実際、結婚相談所の営業利益率は7〜8割に達します。仕入れも在庫も店舗も不要で、原価にあたるものが連盟への支払いだけだからです。

ただし、利益率が高いことと、手元に大きな金額が残ることは別です。

会員数 年商 手残り 実態
16名(業界平均) 352万円 約274万円 兼業の規模
30名 660万円 約533万円 専業で成立
40名 880万円 約718万円 一人経営の上限付近

利益率が8割でも、年商352万円なら手取りは274万円です。「儲かる」の実感が得られるのは会員30名を超えてからで、そこに到達するには集客を続ける必要があります。

逆に言えば、この事業の収入は会員数でほぼ決まります。経費削減で増える余地はほとんどなく、伸ばす方法は会員を増やすことだけという単純な構造です。

始めた人のうち、どれだけが続いているのか

業態を選ぶ前に、退出の実態も見ておきます。婚活ビジネスの中で唯一、参入と退出の数字が公開されているのが結婚相談所です。

IBJのIR資料によると、2025年の1年間で874件が新規開業した一方、加盟相談所の総数は4,541社から4,766社へ225社しか増えていません

874件 − 225社 = 約650社が1年間に退出

期中平均の社数(約4,650社)を分母にすると年間約14%。7社に1社が毎年入れ替わっている計算です。他連盟への移籍や脱退も含まれるため全部が失敗ではありませんが、始めた人の相当数が続かない市場であることは事実です。

一方でIBJは「事業継続率97%」(2021〜2023年に開業した2,722社のうち退会84社)とも説明しています。母集団と期間の取り方が違うだけで、どちらも事実です。開業して間もない層は辞めず、数年やって伸びなかった層が抜けていくという構造が、2つの数字から読み取れます。

婚活パーティーやアプリにはこうした公開データがありません。参入前に退出率を確認できるのは相談所だけという点も、業態選びの判断材料になります。失敗の詳しい分析は失敗を数字で検証した記事で扱っています。

どの業態から始めるべきか

資金と時間の条件で決まります。

あなたの状況 向いている選択
本業があり、まず副業で試したい 初期費用0円の連盟で相談所。損失の上限が20万円台に収まる
資金があり、専業で早く立ち上げたい 加盟金型の連盟で相談所。研修と会員データベースをまとめて買う
人を集めるのが得意で、まず現金を作りたい 婚活パーティーから始めて、参加者を会員化して相談所へ移行
数千万円の資本と開発チームがある アプリ運営も選択肢になるが、個人の起業とは別の話

多くの人にとって現実的なのは、相談所から始める選択です。理由は3つあります。初期費用の幅が広く自分の資金に合わせられること、収入が積み上がること、そして撤退コストが極端に低いことです。在庫も店舗もないため、うまくいかなくても損失は加盟金と月会費の累計に限定されます。

よくある質問

婚活ビジネスに資格は必要ですか?

不要です。結婚相談業を規制する業法が存在しないため、届出も登録もありません。ただし特定商取引法(契約書面)と個人情報保護法の義務はかかります。例外として、自社で会員同士が直接やり取りできる仕組みを作る場合は、出会い系サイト規制法により公安委員会への届出が必要になり得ます。詳しくは資格と手続きの記事で扱っています。

婚活ビジネスの市場は今後も伸びますか?

IBJのIR資料では、成婚組数が直近3年で約1.4倍、登録会員が前年比+11.6%と説明されています。加盟店1社あたりの平均会員数も1年で15.0名から16.2名へ増えており、少なくともIBJのネットワーク内では縮小していません。ただし他連盟を含む業界全体の統計は公開されていないため、断定はできません。

婚活パーティーと結婚相談所、どちらが儲かりますか?

単発の現金化はパーティー、積み上がる収入は相談所です。パーティーは今月10万円を売り上げても来月はまたゼロから集客が必要ですが、相談所は会員が在籍する限り月会費が入り続けます。長期の収入では相談所が有利で、パーティーは相談所の集客手段として組み合わせるのが実務的です。

未経験でも婚活ビジネスで起業できますか?

できます。相談所であれば連盟の研修で実務を覚えられますし、IBJの場合は6ヶ月の研修が用意されています。ただし研修で教わるのは会員対応であって集客ではありません。会員をどこから連れてくるかは自分で解く必要があります。集客費の考え方は集客費の上限を計算した記事にまとめました。

まとめ

  • 個人が選べるのは結婚相談所と婚活パーティーの2つ。アプリ運営は数千万円規模で対象外
  • 市場はIBJネットワークだけで年約213億円。日本の結婚の約4.1%がこの1社経由
  • 相談所は収入が積み上がるが立ち上がりが遅い(12〜18ヶ月)
  • パーティーはすぐ現金化できるが毎回ゼロから。相談所の集客手段として組むのが実務的
  • 利益率7〜8割でも、年商352万円なら手取り274万円。実感が出るのは会員30名から
  • 年間約650社(母数の約14%)が退出。参入前に退出率を確認できるのは相談所だけ
  • 迷ったら相談所から。初期費用の幅が広く、撤退コストが極端に低い

業態が決まったら、次は連盟選びです。初期費用0円から220万円まで幅があり、ここで損失の上限も決まります。連盟6社の比較記事で実額を並べているので、自分の資金に合う型から検討してください。開業の手順全体は開業ガイドにまとめています。

相談所で始めると決めたら、最初にやるのは連盟の実額を並べることです。加盟金の内訳も、会員数別の月額も、資料に載っています。業態を決めた今が、条件を確かめるタイミングです。

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(IBJ公式サイト/登録会員数107,597名・加盟相談所4,783社)

この記事を書いた人

成田 風輝(なりた ふうき)

結婚相談所開業ナビ 調査責任者。上場企業のIR資料・公的統計・各連盟の公式公表値をもとに、業界の数字を検証して記事にしています。M&A仲介の手数料を比較するM&A手数料ナビも運営。

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